健康診断の結果の見方|項目別にやさしく解説

公開日: 2026年7月23日

健康診断の結果が届いたものの、数字とアルファベットが並んでいるだけで、どこから見ればいいかわからない。この記事は、そんな方が結果表を上から順に読めるようになるためのガイドです。最初に全体を見る3つのステップを説明し、そのあと項目ごとに「何を測っているか」「どこからが要注意か」を解説します。

ひとつ先にお伝えしておくと、この記事の基準値はすべて日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)を使っています。基準値や判定の書き方は施設によって少しずつ違うため、最終的にはお手元の結果表の注記が優先です。

まず全体を見る3つのステップ

項目を一つずつ読み始める前に、この順番で全体をつかみます。

  1. 総合判定を見る。 A〜Eなどの文字が、結果全体の要約です。文字の意味は施設によって違うので、詳しくは健康診断のA〜E判定の意味をやさしく解説を参照してください。
  2. C以上(要再検査・要精密検査など)が付いた項目を探す。 今回、行動が必要なのはその項目だけです。逆に言えば、そこさえ対応すれば残りは急ぎません。
  3. 去年の結果と並べる。 基準値の内側でも、毎年じわじわ悪化している項目は次の候補です。1回の数値より、変化の方向のほうが多くを教えてくれます。

ここから先は、一般的な結果表に印刷されている順番で項目を見ていきます。

身体計測(BMI・腹囲)

BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値で、18.5〜24.9が基準範囲です。18.4以下または25.0以上で要再検査・生活改善の対象になります。

腹囲はメタボリックシンドロームの判定に使われる値で、男性85.0cm以上、女性90.0cm以上が引っかかるラインです。これは太さそのものではなく、内臓脂肪の量を推定するための代理の数値として使われています。

血圧

判定 収縮期(上) 拡張期(下)
A 異常なし 129以下 84以下
B 軽度異常 130〜139 85〜89
C 要再検査・生活改善 140〜159 90〜99
D 要精密検査・治療 160以上 100以上

単位はmmHgで、上下どちらか悪いほうで判定されます。健診会場では緊張で普段より高く出る人が多く(白衣高血圧と呼ばれます)、学会も健診機関での再測定より家庭での血圧測定を勧めています。Cが付いた方は、まず家で数日測ってみてください。

脂質(LDL・HDL・中性脂肪)

コレステロールは3つの数値で見ます。LDLは全身に脂質を配る「運ぶ側」、HDLは余った脂質を回収する「回収する側」です。だからLDLは高すぎると、HDLは低すぎると問題になります。

項目 基準範囲(A) D判定のライン
LDLコレステロール 60〜119 mg/dL 180以上(59以下もD)
HDLコレステロール 40 mg/dL以上 29以下
中性脂肪 30〜149 mg/dL 500以上(29以下もD)

中性脂肪は前日の食事や飲酒で大きく動く数値で、判定は空腹時の採血が前提です。健診前日に食事の指示があるのは、主にこの項目と血糖のためです。

血糖(空腹時血糖・HbA1c)

血糖は2つの数値をセットで判定します。空腹時血糖はその日の血糖値、HbA1cは過去1〜2か月の血糖の平均を反映する数値です。前日に節制してもHbA1cは下がらないので、ふだんの状態はこちらに表れます。

基準範囲は「空腹時血糖70〜99 mg/dLかつHbA1c 5.5%以下」です。空腹時血糖126以上かつHbA1c 6.5%以上になると、糖尿病の可能性が高いとして要精密検査・治療の判定になります。その間の「どちらかが少し高い」帯域は要注意〜要再検査で、生活習慣の見直しが最も効く区間でもあります。

肝機能(AST・ALT・γ-GTP)

3つとも肝臓の細胞に含まれる酵素で、肝臓がダメージを受けると血液中に漏れ出して数値が上がります。

項目 基準範囲(A) D判定のライン
AST(GOT) 30 U/L以下 51以上
ALT(GPT) 30 U/L以下 51以上
γ-GTP 50 U/L以下 101以上

γ-GTPはお酒との関連で知られていますが、飲まない人でも脂肪肝や薬の影響で上がることがあります。どの組み合わせで何が疑われるかは項目ごとの話になるので、別記事で詳しく扱う予定です。

腎機能(クレアチニン・eGFR)と尿酸

クレアチニンは筋肉から出る老廃物で、腎臓のろ過機能が落ちると血液中に残って数値が上がります。ただ筋肉量の影響を受けるため、年齢と性別で補正したeGFRを優先して判定します。eGFRは60.0以上が基準範囲で、44.9以下だと要精密検査です。

尿酸は2.1〜7.0 mg/dLが基準範囲です。7.0を超えた状態が続くと結晶ができやすくなり、痛風発作の下地になります。9.0以上で要精密検査・治療です。

貧血(血色素量)

血色素量はヘモグロビンのことで、結果表によって表記が違うだけの同じ検査です。基準範囲は男性13.1〜16.3 g/dL、女性12.1〜14.5 g/dLで、男性12.0以下、女性11.0以下になると要精密検査になります。特に女性は引っかかりやすい項目で、疲れやすさの原因がここで見つかることもあります。

尿検査(蛋白・潜血・糖)

尿検査は(−)が異常なし、(±)が軽度異常、(+)で要再検査、(2+)以上で要精密検査という読み方をします。尿蛋白と尿潜血は腎臓や尿路のサイン、尿糖は血糖が高い状態のサインです。あまり知られていませんが、尿蛋白と尿潜血が両方(+)の場合は、片方だけのときより一段厳しく判定するルールになっています。

その他の項目(視力・聴力・X線・心電図)

視力は悪いほうの目で判定され、1.0以上が異常なしです。聴力は1000Hzと4000Hzの2種類の音が30dB以下で聞こえれば異常なしです。胸部X線や心電図は数値ではなく所見(文章)で書かれ、「所見なし」以外の記載があれば判定と合わせて確認します。

よくある質問

基準値を少し超えているだけなら、放置してもいいですか。

基準値は健康な人の95%が収まる統計的な範囲で、1つ超えたら病気という線ではありません。ただし判定がC以上なら、それは施設が「確認が必要」と判断したサインです。数値の大小を自分で解釈するより、判定に書かれた指示に従うほうが確実です。

去年と同じ生活なのに、数値が変わったのはなぜですか。

検査値は前日の食事、睡眠、測定時間などで普通に変動します。1回の変化で一喜一憂する必要はありませんが、2年、3年と同じ方向に動き続けている場合は偶然ではない可能性が高くなります。だからこそ経年で見ることに意味があります。

結果表は捨ててもいいですか。

捨てないでください。次回の健診で医師が最初に知りたいのは前回の値ですし、転職や転居で健診機関が変わると過去のデータは自分の手元にしか残りません。少なくとも数年分は保管をおすすめします。

まとめ

  • 最初に見るのは総合判定、次にC以上が付いた項目、最後に去年との比較
  • この記事の基準値は日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)で、施設によって多少異なる
  • 血糖はHbA1cとセット、腎機能はeGFR優先、血圧は家庭での測定が推奨など、項目ごとに「正しい見方」がある
  • 基準値は統計的な範囲であり、1回の数値より経年の変化のほうが情報量が多い

今日できることを1つだけ挙げるなら、去年の結果表を今回の隣に並べて、C以上が付いた項目の数値がどちらに動いたかを確認することです。

毎年の結果表をスキャンするだけで数値を記録し、経年変化をグラフで見られる無料アプリ「Kenshin Note」もあります。紙の結果表を並べる作業をアプリに任せたい方は、試してみてください。


この記事は一般的な情報の提供を目的としており、医学的な診断や治療の助言ではありません。数値や判定の解釈、次の対応については、健診を受けた施設または医師にご確認ください。

参考文献

公開日:2026年7月23日